システムへアクセスするには、かならずユーザアカウントが使われます。 また、プロセスもすべてユーザによって実行されますので、 ユーザとアカウントの管理は FreeBSD システムにおいて欠かすことのできない重要なものです。
FreeBSD 上のどのアカウントにも、 そのアカウントを識別するための情報がなにかしら結び付けられています。
login: プロンプトに対して入力するユーザの名前です。 ユーザ名はそのコンピュータ内で一意でなければならず、 2 名のユーザに同じユーザ名をつけることはできません。 有効なユーザ名を作成するには passwd(5) に記載されているいくつもの規則があります。 8 文字以下の小文字からなるユーザ名が一般的です。
それぞれのアカウントにはパスワードがあります。 パスワードは空白にもでき、 その場合はシステムにアクセスするのにパスワードは不要です。 これは通常はとても悪い考えです。 すべてのアカウントにはパスワードをつけるべきです。
UID は、システムがユーザを一意に識別するための、 伝統的には 0 から 65535[1]の間の数値です。内部的には、FreeBSD はユーザの識別に UID を使っています。ユーザ名を指定できる FreeBSD のコマンドは、 どれもユーザ名を UID に変換してから扱っています。 これは、同じ UID を持つ異なるユーザ名のアカウントがいくつあってもよいということになります。 FreeBSD に限っていうと、 これらのアカウントはひとりのユーザとして扱われます。 そうする必要があるとは思えませんが。
GID は、ユーザが属する第一グループを一意に識別するための、 伝統的には 0 から 65535[1] の間の数値です。グループは、UID ではなく、 ユーザの GID に基づいて資源へのアクセスを制御する仕組みです。 これは、ある種の設定ファイルのサイズを大幅に小さくします。 ユーザは、複数のグループに所属できます。
ログインクラスはグループの仕組みを拡張したもので、 別々のユーザに対してシステムを調整する時に、 さらなる柔軟性を提供します。
デフォルトでは、FreeBSD は定期的にパスワードを変更することをユーザに強制しません。 これをユーザごとに設定して、一部またはすべてのユーザに、 一定の時間がたったらパスワードを強制的に変更させることができます。
デフォルトでは、FreeBSD はアカウントを失効させません。 たとえば学校で生徒のアカウントがある場合など、 限られた期間だけのアカウントを作成するなら、 そのアカウントがいつ失効するか指定できます。 有効期間が経過したら、 そのアカウントのディレクトリやファイルは残っていますが、 システムへのログインはできなくなります。
FreeBSD ではユーザ名でアカウントを一意に識別しますが、 必ずしもユーザの本名を反映したものではありません。 この情報をアカウントに関連付けることもできます。
ホームディレクトリは、 ユーザがログインした時に作業を開始する、 システム中のディレクトリへのフルパスです。 一般的な慣習は、すべてのユーザのホームディレクトリを /home/username か /usr/home/username の下に置くことです。 ユーザは、個人のファイルをホームディレクトリや、 その下に作成するディレクトリに保存します。
シェルは、 ユーザがシステムと対話するデフォルトの環境を提供します。 いろいろな種類のシェルがあり、 経験を積んだユーザはそれぞれ好みがあり、 それをアカウントの設定に反映できます。
アカウントには大きく分けて三種類のものがあります。それは、 スーパーユーザ (Superuser)、 システムユーザ (system users)、 そしてユーザアカウント (user accounts) です。 スーパーユーザのアカウントは通常 root と呼ばれ、 無制限の特権を持つためにシステムの管理に用いられます。 また、システムユーザはサービスの運用に用いられ、 最後のユーザアカウントは、 実際にログインしてメールを読むといった作業を行なう利用者のためのものです。
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UID や GID には 4294967295 までの数を使えますが、 そのような ID は、ID の値に対して仮定を置いているソフトウェアで問題を起こす可能性があります。 |
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