ソケット IPC 機構が対応している ネットワークドメインのいくつかは、 ネットワークプロトコルへのアクセスを提供しています。 これらのプロトコルは理論上、 カーネルのソケットソフトウェアよりも下の層にある 別のソフトウェアとして実装されています。 カーネルは、バッファ管理、メッセージ配送、 各プロトコルへの汎用インタフェースを提供し、 また、さまざまなネットワークプロトコルを使用するための ネットワークインタフェースドライバへのインタフェースなど、 多くの付随サービスを提供します。
4.2BSD が実装された時点ではさまざまなネットワークプロトコルが 使用され、また開発中の段階にありました。 それらはそれぞれ固有の強みと弱みを持っており、 明らかに優れたプロトコルやプロトコルスイートというものは存在しませんでした。 4.2BSD は複数のプロトコルに対応することで、 バークレー校の環境で利用可能だったさまざまなマシン間での 資源の共有や、相互運用の提供を可能にしていました。 またこの複数プロトコルへの対応は、 将来的な変更に備えて設計されていました。 今日利用されている 10-100Mbps のイーサネット用のプロトコルは、 将来の 1-10Gbps 光ファイバネットワークに対して、 おそらく十分なものではないでしょう。 そのため、ネットワーク通信レイヤは複数のプロトコルに対応できるように 設計されています。 新しいプロトコルがカーネルに追加されても、 既存のプロトコルがその影響を受けることはまったくありません。 新しいアプリケーションは新しいネットワークプロトコルで動作し、 一方で既存のアプリケーションもまた、 それと同じ物理ネットワーク上で今までどおりのプロトコルを 利用し続けることが可能です。
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