22.6. ISDN

最終更新: Bill Lloyd .

訳: はらだ きろう . 11 December 1996.

ISDN 技術とハードウェアに関しては、 Dan Kegel's ISDN Page がよい参考になるでしょう。

ISDN の導入手順は、 簡単にいって以下のようになります。

どの方法を用いるかを決定するには、 費用が重要な要素になってきます。 以下に、 最も安価な方法から、 高価な方法まで順に説明していきます。

22.6.1. ISDN カード

著者:Hellmuth Michaelis .

このセクションの記述は、 DSS1/Q.931 ISDN 標準がサポートされている国のユーザにのみ有効です。

最近増えてきている PC ISDN カードのうちいくつかは、 FreeBSD 2.2.x 以降で isdn4bsd ドライバパッケージによりサポートされています。 依然として開発中ではありますが、 ヨーロッパ中でうまく動作しているという報告があります。

最新の isdn4bsd は、 ftp://isdn4bsd@ftp.consol.de/pub/ から入手できます。 この ftp サイトでは、 ユーザ名として isdn4bsd を使い、 パスワードにメールアドレスを使ってログインする 必要があります。 ログインできたら pub ディレクトリに移動してください。 ユーザー名 ftpanonymous によるログインでは、 必要なファイルにたどりつけません。

isdn4bsd は、 IP over raw HDLC もしくは同期 PPP を利用して他の ISDN ルータと接続できます。 留守番電話アプリケーションも使えます。

Siemens ISDN チップセット (ISAC/HSCX) を使用したものを主に多くのカードがサポートされています。 他のチップセット (Motorola、 Cologn ChipDesigns) のサポートは現在開発中です。 サポートされるカードの最新のリストは、 README を参照してください。

他の ISDN プロトコルを追加したい場合や、 サポートされていない ISDN PC カード サポートしたい場合など isdn4bsd を拡張したい場合は、 までご連絡ください。

majordomoによるメーリングリストが利用できます。 参加するには、 本文に

subscribe freebsd-isdn

と記入したメールを 宛てに送ってください。

22.6.2. ISDN ターミナルアダプタ

ターミナルアダプタ (TA) はISDN に対して、 通常の電話線に対するモデムに相当するものです。

ほとんどの TA は、 標準のヘイズ AT コマンドセットを使用しているので、 単にモデムと置き換えて使うことができます。

TA は、 基本的にはモデムと同じように動作しますが、 接続方法は異なり、 通信速度も古いモデムよりはるかに速くなります。 PPP の設定を、 モデムの場合と同じように行ってください。 とくにシリアル速度を 使用できる最高速度に設定するのを忘れないでください。

プロバイダへの接続に TA を使用する最大のメリットは、 動的 PPP を行えることです。 最近 IP アドレスが不足してきているため、 ほとんどのプロバイダは、 専用の IP アドレスを割り当てないようになっています。 ほとんどのスタンドアローンルータは、 動的 IP アドレスに対応していません。

訳注: 最近の ISDN ルータでは、 IP アドレスの動的割り当てに対応しているものも多いようです。 ただし制限がある場合もありますので、 詳しくはメーカ に問い合わせてください。

TA を使用した場合の機能や接続の安定性は、 使用している PPP デーモンに完全に依存します。 そのため、 FreeBSD で PPP の設定が完了していれば、 使用している既存のモデムを ISDN の TA に簡単にアップグレードすることができます。 ただし、 それまでの PPP のプログラムに問題があった場合、 その問題は TA に置き換えてもそのまま残ります。

最高の安定性を求めるのであれば、 ユーザープロセス iijPPP ではなく、 カーネル PPPを使用してください。

以下の TA は、 FreeBSD で動作確認ずみです。

他の TA もほとんどの場合うまく動作するでしょう。 TA のメーカーでは、 TA がほとんどの標準モデム AT コマンドセットを受け付けるようにするよう、 努力しているようです。

外部 TA を使う際の最大の問題点は、 モデムの場合と同じく良いシリアルカー ドが必要であるということです。

シリアルデバイスの詳細、 そして非同期シリアルポートと同期シリアルポートの差については、 同期・非同期の違いやシリアルデバイスについて説明したチュートリアル FreeBSD Serial Hardware を参照してください。

標準の PC シリアルポート(非同期)に接続された TA は、 128Kbs の接続を行っていても、 最大通信速度が 115.2Kbs に制限されてしまいます。 128Kbs の ISDN の性能を最大限に生かすためには、 TA を同期シリアルカードに接続しなければなりません。

内蔵 TA を購入して、 同期/非同期問題を片付けてしまおうとは思わないでく ださい。 内蔵 TA には、 単に標準 PC シリアルポートのチップが内蔵されてい るだけです。 内蔵 TA の利点といえば、 シリアルケーブルを買わなくていいと いうことと、 電源コンセントが一つ少なくて済むということくらいでしょう。

同期カードと TA の組合せは 386 の FreeBSD マシンの場合でも、 スタンドア ローンのルータと同程度の速度は確保できます。 またこの組合せでは、 ルータより柔軟な設定が可能です。

同期カード/TA を選ぶか、 スタンドアローンルータを選ぶかは、 多分に宗教的な問題です。 メーリングリストでもいくつか議論がありました。 議論の内容に ついては、 archives を参照してください。

22.6.3. スタンドアローン ISDN ブリッジ/ルータ

ISDN ブリッジやルータは、 OS 特有のものではありません。 もちろん FreeBSD 特有のものでもありません。 ルーティングやブリッジング技術に関する詳細は、 ネットワークの参考書をご覧ください。

このページでは、 ルータとブリッジにどちらでもあてはまるように記述します。

ISDN ルータ/ブリッジは、 ローエンドの製品のコストが下がってきていることもあり、 より一般的に使用されるようになるでしょう。 ISDN ルータは、 外見は小さな箱で、 ローカルのイーサネットネットワーク(もしくはカード)と直接、 接続します。 また、 自身で他のブリッジ/ルータとの接続を制御します。 PPP や他のプロトコルを使用するためのソフトウェアは、 すべて組み込まれています。

ルータは、 完全な同期 ISDN 接続を使用するため、 通常の TA と比較してスループットが大幅に向上します。

ISDN ルータ/ブリッジを使用する場合の最大の問題点は、 各メーカーの製品間に相性の問題がまだ存在することです。 インターネットプロバイダとの接続を考えている場合には、 プロバイダと相談することをお勧めします。

事務所の LAN と家庭の LAN の間など、 二つの LAN セグメントの間を接続しようとしている場合は、 ブリッジ/ルータの使用がもっともメンテナンスが 簡単で、 努力が少なくてすむ方法です。 両側の機材を購入するのであれば、 メーカー間の接続性の問題もないでしょう。

たとえば家庭の LAN や出張所の LAN を本社のネットワークに接続するためには、 以下のような設定が使用できます。

例 22-1. 出張所 LAN または 家庭 LAN

ネットワークは、 10 Base T イーサネットです。 ルータとネットワークの間は、 必要に応じて AUI/10BT トランシーバを使って接続します。

---Sun ワークステーション
|
---FreeBSD マシン
|
---Windows 95 (別に勧めているわけじゃありません)
|
スタンドアローンルータ
   |
ISDN BRI ライン

家庭/出張所 LAN で、 一台しかコンピュータを接続しないのであれば、 クロス のツイストペアケーブルを使用して、 スタンドアローンルータと直結も可能です。

例 22-2. 本社 LAN や他の LAN

ネットワークは、 ツイストペアイーサネットです。

-------Novell サーバ
|  |
|ハ ---Sun
|  |
|   ---FreeBSD
|  |
|ブ ---Windows 95
|  |
|___---スタンドアローンルータ
    	|
    ISDN BRI ライン

ほとんどのルータ/ブリッジでは、 別々の二つのサイトに対して、 同時にそれ ぞれ独立した二つの PPP 接続が可能です。 これは、 通常の TA ではサポートされない機能で、 ルータ/ブリッジ接続の大きな利点です (シリアルポートを 二つもつ特殊(そして高価な) TA では可能です)。 チャンネル割り当てや MPP などと混同しないでください。

これは、 大変便利な機能です。 たとえば事務所で専用線 ISDN 接続を使用していて、 別の ISDN ラインを購入したくないとします。 この場合、 事務所のルータは、 一つの専用線 B チャンネル接続(64Kbs)を維持しつつ、 別 の B チャンネルを他の用途に使用することができます。 たとえば、 他の場所 とのダイアルイン、 ダイアルアウトに使用したり、 バンド幅を増やすために、 インターネットとの接続への動的な割り当て(MPP など)に使用したりすることが可能です。

またイーサネットブリッジは、 IP パケットだけでなく IPX/SPX などすべての プロトコルのパケットを中継することが可能です。

本文書、および他の文書は ftp://ftp.FreeBSD.org/pub/FreeBSD/doc/ からダウンロードできます。

FreeBSD に関する質問がある場合には、ドキュメント を読んだ上で <questions@FreeBSD.org> まで (英語で) 連絡してください。
本文書に関する質問については、<doc@FreeBSD.org> まで電子メールを (英語で) 送ってください。